けふ、鋭利な三日月が、空に存在している。
胸がキュンとします。
三日月の美しさを眺めていると
先日の京都薪能のかがり火が、目に浮かぶ。
6月3日午後5時半始
夕 顔 (観世流半能)
紅葉賀(もみじのが) (新作能)
おばんと光君 (新作狂言)
葵の上 (金剛流能)
本年の京都薪能は、「源氏物語千年紀」と附されていて
源氏物語に因んだ演目である。
平安神宮の朱の拝殿と、東山連邦の深い緑をめでながら
舞台に釘付けされる。
火入式がおこなわれ、だんだんと暮れていくなか、
かがり火の明かりに浮かぶ幽玄の世界。
前世の時代感とともに変わらぬ人情の機微
そして、何よりも鷲づかみにされる日本音楽の源流である
囃子(はやし)方。
息を呑む緊張感と躍動する激しいリズム。
阿鼻叫喚。
「忍ぶ思ひの色深き 忍ぶ思ひの色深き
紅葉も映ゆる篝火に 光源氏の御姿
雲居の内に極まりて 夢かとぞ見る平安の
夢かとぞ見る平安の みやびの庭こそゆかしけれ」
(紅葉賀の詞章)