稲盛財団の主催する京都賞は、
先端技術、基礎科学、思想芸術の分野で
著しく貢献した人に贈られる国際賞です。
二年前の受賞者は、現代舞踊の世界的振付家、ピナ・バウシュ。
その年の秋の一日。
稲盛財団のおやさしい対応のお蔭で、
ピナ・バウシュのトークサロンに、ぎりぎり参加可能となりました。
司会の楠田枝里子氏の質問に
丁寧に答えるピナの なんとも美しい手の動きに魅了され
呼吸することも忘れているような時間でした。
攻撃的で、挑発的で、ダイナミックで常に常識をくつがえす舞台の数々。
欧州のダンス界を共にリードしてきた舞踏集団、山海塾の天児牛大氏は
「ベースにはいつも(なぜ?)があった
そして(人はなぜ理解しあえないのか)(愛はなぜ壊れるのか)といった
問いと、正面から向き合い続けた人だ。」
ほっそりとして、はにかんだようなたたずまいと
大きく見開かれた瞳は、悲しみを帯びる。
私の記憶の奥に、強烈に焼きついている。
色付いた木々を見ると、
二年前の京都での出来事を思い出します。
秋は深い。