「やわらかいといえば
水ほど
やわらかく弱々しいものはないよね
しかも決して争おうとはしない
丸い器に入れば丸くなり
四角い器に入れば四角になる
形にとらわれず 自由自在だ
ところが形をもたないからかえって
どんな小さなすきまにも入ってゆき
どんな巨岩をも粉々にしてしまう
即ち 水とは
やわらかく弱々しいことに徹して
何よりも強い とも言える
上善若水(じょうぜんじゃくすい)
水のように生きるのが
最高の生き方なのだよ
水は万物に恵みを与えているが
決して自慢しないし威張らない
それどころか かえって
人々が嫌がる低い方へ低い方へと
流れてゆく
謙虚だねえ
さあ 水のように生きなさい
それが道の人の
生き方なのだよ
新井満著 「自由訳 老子」
中国の春秋戦国時代(2500年ほど昔)に生きたとされている
哲学者の老子は、全81章5000余文字の題名も著作名もない原稿を
残しました。
きわめて難解だとされている語りを、わかりやすい日本語に
自由訳されている新井満氏。
孔子と老子、中国における思想哲学の二大潮流である。
人生設計において60歳までは孔子原理で
定年退職後は老子原理で生きるべきではないかと。
いっそもっと若いうちから先取りして老子的な生き方を
選択する方が、真の幸福に近づけるのかとも言い放つ。
水が流れるように
風が大空を吹きわたるように生きなさい。
「千の風になって」 無性に聴きたい。
新井満氏 作曲 日本語詞 (原作詩者不明)