気高く、清冽で孤高の道元禅師の半生の映画化です。
時の権力者、北条時頼に禅の教えを説き
池に映った満月を斬ろうとして斬れぬ場面や
棚田の水面にいくつもいくつも輝いている満月。
美しい映像と、道元の思想が心に澄みわたる。
「水に月のやどるがごとし。月ぬれず、水やぶれず」
「こんな点をみると、どうも道元という人は気ちがいだと
しかいいようがない。もっとも、いつの世も、
世の中を作っていく人は、こうした人だと思うんです。
悟りはわからないが、道元という人は、分かるような気がする。」
井上ひさし氏の「私の道元禅師」のなかの一節です。
私は、この一節が、蒙昧なる我も納得でき、好きなところです。
中野孝次氏は「道元断章」のまえがきでこう述べられています。
「正法眼蔵はおそろしく難解。わたしは生涯のすべてを読書に
捧げてきた人間で、読書のプロだとうねぼれているが、
そのわたしでも読んでただちに理解できるというわけにいかない。
こんな経験ははじめてだ。が、わかってもわからなくても読む。」
ありがとうございます。
「春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり」